凶器を楽器に持ち替えよう運動 連載02回目

転校先で気の合った友達とは高校生になってからも付き合いは続いていた。
ある日行きつけの楽器屋さんでアルバイトでもないのに売り物のギターを綺麗に拭いていた時に、地元の友達が
「はかせって今バンドやってる?」
と聞かれて
「やってないよ探してるけど」
友達は満面の笑顔で
「今同じ高校の子たちとXのコピーバンドやってるから一緒にやらない?」
「う~んXか~。もっとパンクなバンドがやりたいもんねぇ」
と僕が言うと友達は
「次のバンドが見つかるまでのヘルプでいいから、毎回女の子をもう一人のギターの子が連れてくるんだよ!!」
速攻返事をした。
「次のバンドが決まるまでお願いします!!」
早速どの曲をコピーしているか聴いて楽譜とCDを買い、
ひたすら練習の日々となった。
一緒にスタジオに入るのは2週間後だった。
ヴァンヘイレンの曲を一通り弾ける僕にとってはXの曲は、早弾きの16音符が多いけど弾けるのに1週間もかからなかった。
ただもう一人のギターがいるというので負けてたまるかと思い、
「この曲もやりたいんだけど」
と言いたいが為に1っ曲多く覚えてみたりもした。

当時はHIDEがソロ活動を本格的に始めだした頃でHIDEの曲もやりたいと思い、楽譜とCDを買ってまたまた弾き込んで4曲くらいしかなかったそのバンドのレパートリーを10曲位一気に増やしてしまう荒業を要求したのだが、
メンバーのモチベーションが良く見事についてきてくれて、
来てくれる女の子にリクエストまでしてもらえるようになった。

…なのだが一つだけとても重要な欠点があった。
ヴォーカルがいない!!
とうまさかの展開にとにかくバンドの顔なんだから、イケメンかチャラくて歌が上手い奴を条件に探していたのだがホントにクソみたいなヴォーカルしかいなくて僕は何となくそのバンドに飽きてきてしまった。

そして夏休みが終わる10日くらい前に電話が僕宛てにかかってきた。
電話に出ると、
「はかせ!!俺だけど!!」
相手は数週間前暴走族を辞めるだ辞めないだで僕に相談をしてきた友達だった。
「はかせ、もう暴走族も抜けて警察にも抜けた事を言いに行って何にもしがらみが無くなったよ!!ありがとうね!!」
僕も嬉しくなって、
「良かったじゃん!!おめでとう!!高校は辞めちゃいかんよ!!」
と言うと
「辞めるわけないじゃん!!はかせこの前約束しとったバンド組もうよ!!」
僕はビックリしてしまっていた。
すっかりその約束の事を忘れてしまっていたのだ。

続く…

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